2006 Fiscal Year Annual Research Report
大マゼラン銀河のミリ波・サブミリ波及び赤外線全面探査による銀河進化の観測的研究
Project/Area Number |
18684003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大西 利和 名古屋大学, 大学院理学研究科, 助教授 (30314058)
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Keywords | 星形成 / 電波天文学 / 赤外線天文学 / 大マゼラン雲 |
Research Abstract |
本研究の目的は、我々の銀河系に最も近い系外銀河である大マゼラン銀河(LMC)全面に渡るミリ波・サブミリ波データと近〜遠赤外線データとの詳細な比較を行なうことにより、同銀河全域に渡る星間物質と、そこでの星形成の様子を明らかにするところにある。 1.赤外線天文衛星SpitzerにるLMC全面サーベイ(SAGE)データのデータベース環境整備 SAGEデータの解析・データ格納のため、大容量のメモリを搭載した高速計算機と大容量のハードディスクを購入した。本年度の1月に約400万点の点源を含む第1期の点源データベースが公開され、これらの計算機でデータを扱えることを確認した。 2.CO、SAGEデータを含む多波長観測データの相互比較 分子雲の物理的性質と、そこでの星形成の活発さとの関連を調べるため、上記の点源カタログ、それをもとにSAGEチームが共同で選出した原始星候補天体と、「なんてん」により取得されたデータとの比較を行なった。分子雲の分布と原始星候補天体の分布の位置相関は非常に良く、候補天体の選出方法が妥当であったこと、分子雲の質量と星形成の活発さに非常に強い相関があること等が明らかになった。 3.NANTEN2望遠鏡でのサブミリ波観測のためのデジタル分光計の搭載 9,10月にスイスのETH Zuerichが持ち込んだ、帯域1GHzのデジタル分光計の搭載を行なったが、機械の異常高温のため使用することができなかった。これは、気圧が通常の半分の環境下では空気による冷却が十分ではなかったためと考えられ、現在冷却効率を高めるべく作業中である。 4.NANTEN2を用いたミリ波・サブミリ波観測の開始 9月より、460/810GHz帯での本格的なサブミリ波観測を開始した。30Dor, N159等の活発な星傾城領域の観測を行ない、高温・高密度なガスの存在を確認した。また、N159W方向で13CO(4-3),CI(2-1)スペクトルの検出に初めて成功し、より詳細な物理状態の解明が期待できる。
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Research Products
(6 results)