2006 Fiscal Year Annual Research Report
ソーラーセイル衛星搭載ガンマ線偏光検出器のプリフライトモデルの製作
Project/Area Number |
18684007
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
米徳 大輔 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (40345608)
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Keywords | ガンマ線バースト / 偏光 / 人工衛星 / X線 / ガンマ線 / 高エネルギー天文学 |
Research Abstract |
モンテカルロシミュレーションを用いて検出器モデルを検討し、その設計に基づいたプリフライトモデルの製作を行った。直径10cm、高さ5cm相当の12角柱プラスチックシンチレータと、5×3×0.3cmのCsIシンチレータ12枚を組み合わせ、それぞれのシンチレータに光電子増倍管を装着している。高圧、信号出力、テストパルスなどの回路基盤を自作し、検出器と一体化して組み込んでいる。信号はVA-TAと呼ばれるASICアンプで並列に読み出しているため、非常に小型で軽量なアナログ・デジタル回路を実現することができた。ただし、光電子増倍管からのパルス信号と、VA-TAの特性周波数が整合していないため、一般的なアンプを使用した場合と比べてS/Nが悪くなっている。この点の改善に取り組んでいる。 また、実験室内に全長5mのビームラインを製作した。100keVまで放射できるX線発生装置を装着し、外部に漏れないように全体を鉛シートで遮蔽している。これによって、擬似平行光源を検出器全面に照射できるようになり、宇宙での天体観測に類似した環境で実験が行えるようになった。ビームラインを用いて検出器応答を調べた結果、偏光ガンマ線の検出感度として検出効率20%、モジュレーション因子O.36程度であることを実験的に示した。これは、当初のシミュレーションで予想された性能とかなり良い一致を示しており、正しい検出器を製作できたと言えよう。 本研究で製作した検出器は広い視野を有しており、あらゆる方向でランダムに発生するGRBを待ち受ける。実際の観測では、ガンマ線は検出器に対して斜めに入射してくることになるので、その応答関数を把握することが重要になる。ビームラインを用いることで、斜め入射の実験も行えるようになり、モジュレーションパターンの入射角度依存性が把握できるようになってきた。ただし、斜め入射の実験において、正しい偏光度を求める手段は調査中であり、来年度の実験で方法を確立したい。
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Research Products
(6 results)