2007 Fiscal Year Annual Research Report
単一次元鎖磁石におけるGlauberダイナミクスの磁気相関制御と理論解明
Project/Area Number |
18685007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮坂 等 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 准教授 (50332937)
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Keywords | 分子磁性 / 単分子磁石 / 単一次元鎖磁石 / 金属錯体化学 / 磁気相関 |
Research Abstract |
磁気相関の強い単一次元鎖磁石(SCM)、すなわち、Ising限界を超える相関を有する一次元鎖における磁化反転ダイナミクスは、一般にGlauberダイナミクスとして理解される磁化反転機構で説明がつかない。現在までに幾つかの化合物例が報告されているが、このような機構の違いに言及した例はほとんどない。このようなIsing限界を超えるような単一次元鎖磁石を系統的に設計し、Glauberダイナミクス機構と比較検討することは、単一次元鎖磁石全般の磁化反転ダイナミクスを統一的に解明する手がかりとなる。このような系を構築するため、[Mn^<III>(5-TMAMsalen)]^<3+>と[M^<III>(CN)_6]^<3-> (M^<III>=Co^<III>, S=0; Fe^<III>, S=1/2; Mn^<III>, S=1; Cr^<III>, S=3/2)との交互一次元鎖を合成し、同一構造を有するSCMのシリーズになることを突きとめた。このうち、Mn-Fe及びMn-Mnは強磁性SCM、 Mn-Crはフェリ磁性SCMであり、これらの磁化反転機構が一般的なGlauber機構で説明できないことを見出した。また、極めて強い相互作用で連結したMn^<III>-radical交互鎖のシリーズである[Mn^<III>(5-TMAMsaltmen)(TCNQR_x)] (CIO_4)_2(R_x=H_4, F_2, CL_2, Br_2)を合成し、全ての化合物でSCM挙動を確認すると共に、磁化緩和現象が幅広い磁区形成エネルギーで説明できる可能性を示すことに成功した。未だ統一的な磁化反転機構の解明は行われていないが、このような例を数多く見出すことによって、近い将来解明できると思われる。
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