2006 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒反応を活用した革新的ポルフィリン変換法の開発
Project/Area Number |
18685013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
忍久保 洋 Kyoto University, 理学研究科, 准教授 (50281100)
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Keywords | ポルフィリン / 遷移金属 / π共役系 / 触媒 / 一重項酸素 / 光酸化 / アルキン / パラジウム |
Research Abstract |
1.meso-ブロモポルフィリンに対しパラジウム触媒存在下、アルキンを作用させると、一挙に二つの炭素-炭素結合が生成し、五員環が融着したポルフィリンが得られることを見いだした。この反応の反応条件の最適化、および適用範囲の拡大について検討した結果、本反応は様々なアルキンおよびポルフィリン基質に対して一般性よく効率的に進行することが明らかになった。生成物の単結晶X線構造解析にも成功した。この反応によりポルフィリンのπ系は拡張されるため、その吸収スペクトルはポルフィリンとは大幅に変化することも明らかにした。ポルフィリン外周部へのシクロペンテン環の融着によりHOMO-LUMOギャップが狭くなることと電気化学測定および分子軌道計算により示した。 また、生成物の中心金属が亜鉛の時のみ、室内光により炭素-炭素二重結合が切断され、meso,β-ジアシルポルフィリンが得られることを見いだした。生成物の解析の結果、この現象は、光増感によって生成した一重項酸素によりポルフィリン外周部の炭素-炭素二重結合が切断された結果と考えられる。この変化は大きな色調の変化と蛍光の変化を伴うので、本反応により得られら新規ポルフィリンは一重項酸素センサーとして働く可能性があることが明らかとなった。 2.meso-プロモポルフィリンに対して、塩化金を作用させると数分のうちにポルフィリンの直接的カップリングによる二量化が完了し、ジブロモ-meso-β,meso-β-二重縮環ポルフィリン二量体が収率よく得られることを見いだした。また、ジブロモ-meso-meso結合ポルフィリン二量体からは、ジブロモ三重縮環ポルフィリンが高収率で得られた。従来法では臭素化された縮環ポルフィリンを得ることは難しかったが、本方法により簡単に臭素化縮環ポルフィリンを合成できる。さらに、パラジウム触媒を用いて臭素を変換することで新規縮環ポルフィリン誘導体の合成に成功し、物性評価を行った。一方、ルテニウムやロジウム触媒による直接的カップリングはあまりうまく進行しなかった。
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Research Products
(4 results)