2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本南西諸島ハブ属毒ヘビの種と毒腺アイソザイムの進化の関係
Project/Area Number |
18687016
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
千々岩 崇仁 Sojo University, 生物生命学部, 准教授 (30331060)
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Keywords | ハブ(Protobothrops flavoviridis) / ホスホリパーゼA_2 / アイソザイム / 加速進化 / 南西諸島 / 生物多様性 / 環境適応 |
Research Abstract |
【トカラハブ(小宝島)の毒腺PLA_2アイソザイムの解析】 トカラハブ粗毒の定石どおりのクロマトグラフィー解析を行い、3種類の主なトカラハブ毒腺PLA_2をアイソザイムを単離・解析した。その結果、溶血性の中性[Asp^<49>]PLA_2、浮腫誘導性の塩基性[Asp^<49>]PLA_2および筋壊死性の[Lys^<49>]PLA_2が含まれることが明らかとなった。特に[Lys^<49>]PLA_2は、他のハブ属ヘビと異なりいわゆるBPIだけが発現していることは着目すべき結果である。また、トカラハブ毒腺cDNAライブラリーを解析し、神経毒性の塩基性[Asp^<49>]PLA_2が発現していることも見出した。 【イヘヤジマハブ(伊平屋島)の毒腺PLA_2アイソザイムの解析】 イヘヤジマハブ粗毒より単離・解析した3種類のPLA_2アイソザイムタンパク質のうち、筋壊死性の[Lys^<49>]PLA_2タイプのタンパク質が配列が非常によく似た2種類含まれていることが明らかになった。この結果は、伊平屋島から約110kmしか離れていない沖縄本島のホンハブには筋壊死性の[Lys^<49>]PLA_2が含まれていないことから非常に興味深い結果と考えられる。 【ハブの血清PLA_2インヒビター(PLI)の解析】 ハブ血清より新規のγPLI-Bを中心として、全てのヘビのγPLI-B分子の進化過程を議論した論文は本年J.Mol.Evol.に掲載予定となっている。また、γPLI-Bをコードするゲノム遺伝子も単離・解析し、既知のγPLI-Aとはその成り立ちがまったく異なっていることを見出した。 【ミトコンドリアD-loop領域の塩基配列によるハブ属ヘビの系統解析】 奄美大島、徳之島、沖縄本島北部、沖縄本島南部、伊平屋島、久米島、子宝島、西表島、それぞれ島のハブのミトコンドリアDNAに含まれるD-loop領域、NADH dehydrogenase subunit 4、12Sおよび16S small subunit ribosomal DNAの塩基配列を比較解析したところ、これらのハブがトカラ+奄美大島+徳之島(北群)、沖縄+久米島(中部群)、サキシマ(南群)の3群に分かれることを見出した。
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Research Products
(12 results)