2006 Fiscal Year Annual Research Report
階層的分類を用いた描画プロセスのモデル化と初心者のための描画支援システムへの応用
Project/Area Number |
18700101
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 紀子 東京工科大学, メディア学部, 助手 (10365819)
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Keywords | デッサン / 描画プロセス / デッサン指導 / 計量的 |
Research Abstract |
本研究の目的は、初心者の描画プロセスを時系列のデータとして扱い、定量的な分析から導きだす描画傾向を描画支援として応用することを目指している。実験は、参加者に液晶ペンタブレットに直接入力する方法で実験した。画像に含まれる描画された鉛筆の濃度を計量的に扱い、時系列データとして処理した。次のような開発および研究成果を得た。 1.ペイント系ソフトの開発 タブレットの画面には、紙(A4サイズ相当の描画エリア)と鉛筆と消しゴムボタンのみが表示されている。また、入力時には、カーソルは非表示になる。このソフトは、筆圧感知に対応しているので、タブレット専用のペンの入力加重は入力筆圧と同じように反応するためデジタル機器による描画に特化している。本実験では、筆圧はデフォルトの設定で行った。 2.解析ツールの開発 描画部分をモチーフとして準備したカップの形体(口手前、口奥、底手前、左稜線、右稜線、口陰影、面陰影)の領域ごとに分割し、領域内の濃度の推移を取得する。描画された鉛筆の濃度は256階調の値を持っているので、描画されていないピクセルの状態を0、黒く塗りつぶされたピクセルを1とし、領域内に含まれる全ピクセルに対して濃度の値を正規化し、領域ごとの合計値を算出する。これをの描画プロセスの3秒ごとに算出し、描画部分の濃度変化を数値の推移として取得することが可能となった。 3.標準偏差 描画された鉛筆濃度を正規化した値のばらつきの尺度として標準偏差を求めた。モチーフには、9オンスコップを準備した。参加者が、透明、白、グレーの順に描いた場合、コップのパーツごとの標準偏差の値が減少していく傾向がみられた。本研究では、初心者の描画傾向をとらえる一つの試みとして、鉛筆の濃度の変化を時系列データとして扱うことにより、描画プロセスの変化に一定の傾向があることを捉えることができた。
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