Research Abstract |
本研究では,モバイル/ユビキタス環境において,なめらかな粒度の情報を傍受/操作できる新しいインタフェース技法の構築を目指す。本年度は,こうしたコンセプトに基づく具体的な応用例として,「WillCam:撮影者の興味を視覚化するデジタルカメラ」や,「イルゴール:家庭を奏でるオルゴール」などを提案した。WillCamは,時間・位置・温度・撮影者の表情といった周辺的なコンテキスト情報と,ユーザの興味の対象をアイコン化した上で,詳細な写真と一緒に保存するデジタルカメラである。さらに,シャッターを押す強さを圧力センサで検出し,写真や周辺情報への興味の強さを手軽に記録することができる。イルゴールは,家庭内に多数のセンサが組み込まれたユビキタスホーム環境において,オルゴールのメタファを用いて家庭の様子を音で表現する情報提示システムである。ユーザは,オルゴールのふたを開くことで,さまざまな生活音(e.g.話し声,ドアの音,キッチンの調理音)を通して家庭内の雰囲気を感じることができる。さらに,ふたの開閉度合いによって生活音の粒度(e.g.大きさ,数,種類)を制御したり,ぜんまいを回すことで過去の生活音を段階的に遡って鑑賞することもできる。今後は,システムの評価・改良を通して論文執筆や実用化を進めると共に,なめらかな粒度の情報提示/操作に着目したさまざまなユビキタス・インタフェースについて随時模索し,提案/試作を行っていく。
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