2008 Fiscal Year Annual Research Report
理論的分析と実験的検証による様々なジレンマ状況における評判の効果に関する研究
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18700220
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
秋山 英三 University of Tsukuba, 大学院・システム情報工学研究科, 准教授 (40317300)
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Keywords | 進化ゲーム / シミュレーション / 評判 / ジレンマ / 協力の形成 |
Research Abstract |
本研究課題の一つの大きな目的は、プレーヤーの認知構造と社会慣習・互恵性の進化を分析することであった。ジレンマが存在する(つまりtrivialでない)ゲームには、二戦略対称ゲームに限定しても、囚人ジレンマ、弱虫ゲーム、指導者ゲーム、英雄ゲームの計4つがあることが分かっている(Rapoport & Guyer(1966))。この4つのゲームを中心に分析し、平成20年度には特にエラー付きの「繰り返し指導者ゲーム」に焦点を当て、進化シミュレーションを行った。エラーなしのケースに関する既存研究の結果と異なり、指導者と追随者の役割を固定化する方向の進化の過程が見られた。つまり、プレーヤーがミスする可能性がある状況下では、集団行動のコーディネーションのため、リーダシップが安定に形成されることが分かった。また、生き残った戦略にはすべてのシミュレーション試行について共通のポリシーが見られた。それは次の三つのポリシーである。(1)「上手く行動をコーディネートできない相手に、自分からは譲らない(2)いったん指導者の経験をすると積極的に振る舞う(3)自分が指導者になった記憶がない場合、相手が常に積極的で指導者の経験もあるなら相手に追随する。社会心理学におけるリーダシップ研究では、リーダシップの起源を個人特性に求める理論と、situationにもとめる理論の二つが大きく分けてあるが、本研究の結果は、この両者が表裏一体の役割を果たしていることを示唆する。この結果は、実験心理的手法では見つけるのが困難な事実であり、本研究課題のアプローチを用いることの有用性を示している。
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Research Products
(14 results)