2006 Fiscal Year Annual Research Report
国立大学法人におけるアーカイブズと情報公開および個人情報保護制度に関する研究
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18700245
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
平井 孝典 小樽商科大学, 百年史編纂室, 非常勤職員 (20396336)
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Keywords | 情報社会学 / アーカイブズ |
Research Abstract |
今年度の主な成果としては二つある。ひとつめに、文書館など常設的な施設のない大学での学生関係の資料の収集や保存の課題に関し、「小樽商科大学百年史編纂室の活動等について--I.編纂室本来の役割と付加される役割、及び、II.整理中の学生提出論文の紹介」と題して滋賀大学経済研究所で報告をした(2006年12月8日)。その内容の一部を、「小樽商科大学百年史編纂室による法人文書の収集とその収集活動が「歴史的、学術的に貴重な」法人文書の保存に与える影響」『小樽商科大学史紀要』創刊号 2007年3月という論題で発表をし、卒業論文など法人文書を収集する際に注意すべきことを明らかにした。言い換えれば、百年史編纂室(あるいは類似の組織)による法人文書の保存の意味と課題を確認し、限界がある中で果たせる役割について明らかにした。年史編纂は、保存の意識を高めるという効果はあるが、年史編纂という唯一の歴史学的研究あるいは現時点での大学自己評価を目的としたプロジェクトである。その目的にそって法人文書などの収集整理保存が行われる。本来、大学文書館などでは、「歴史的、学術的に貴重な」資料の保存は、幅広い歴史的価値や大学全体の政策も勘案して行われ、その資料の一部が大学史編纂に使われる。従って、年史編纂のためだけを目的とした活動では、「歴史的、学術的に貴重な」法人文書の保存は十分には行えない。成果の二つ目は、「1932年から1963年に提出された生徒学生提出論文」『小樽商科大学史紀要』創刊号 2007年3月である。法人文書でもある卒業論文をどのように整理利用(公開)するかを検討すべく、小樽商科大学内に審査された直後のまま置かれていた400点あまりを実際に整理し、紹介した。このような資料が保存されるには、百年史編纂室の存在やその活動が重要であるが、編纂室の果たす役割の限界についても作業を通じて検討した。
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