2007 Fiscal Year Annual Research Report
国立大学法人におけるアーカイブズと情報公開および個人情報保護制度に関する研究
Project/Area Number |
18700245
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
平井 孝典 Otaru University of Commerce, 百年史編纂室, 非常勤職員 (20396336)
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Keywords | 情報社会学 / アーカイブズ / フィンランド |
Research Abstract |
フィンランドを訪れ、(1)「資料のホームレスを作らない」アーカイブズの制度と、(2)私立のフィンランド文学協会の活動に特徴づけられる同国のアーカイブズの活動を調査した。同国には20を超える国立大学があり、現在、その整理統合改革が進行中である。政府から求められている課題のひとつは、アーカイブズの充実強化である。法人文書の管理という経営の根幹に関わる改革であり、共同で行う大学はいずれ統合するであろう。今回は、国立公文書館(私文書部門)、そのトゥルク県分館、ヘルシンキ大学中央アーカイブズ、トゥルク大学アーカイブズ(法人文書担当)、トゥルク学術大学等を訪れ、各アーカイブズの活動についてレコードマネージャーやアーキビストから話を聞いた。個人情報の扱いや公開基準は、法と国立公文書館による統一した基準がある一方で、現用文書の保存期間(の長さや有無)などアーカイブズの運用はかなり異なる。例えば、ヘルシンキ大学では、アーキビストが提示した収集対象ケースに基づいて、保存期間を定めず、文書が適宜、渡される。大学経営と一体となったアーカイブズが展開されている。経営関係資料のマネージメントに力を入れつつ、学生関係の資料もきちんと保存されている。例として20世紀はじめの中退者の関係資料を閲覧した。フィンランドのアーカイブズについては、2008年度中に学会で報告し、論文としてまとめる。二つ目に、2008年3月8日の日本貿易振興機構アジア経済研究所で開催された国際ワークショップ「日中米における満鉄関係資料等の利用と保存をめぐる諸問題」に参加を依頼された。このテーマに合わせつつ、本研究の成果の一つとして、「小樽高等商業学校の教育研究活動と旧植民地関係図書資料」と題し、報告した。内容は同名の論文にまとめたが、日本の国立大学におけるアーカイブズをとりまく厳しい環境を考察するとともに、今後の課題を整理した。
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