2006 Fiscal Year Annual Research Report
小脳顆粒細胞の分化の初期過程における分子機構の解析
Project/Area Number |
18700307
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
川内 大輔 千葉大学, 大学院医学研究院, 助手 (10400996)
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Keywords | 遺伝子 / 神経科学 / 脳・神経 / 発現制御 / 発生・分化 / 小脳 / ホメオボックス / 顆粒細胞 |
Research Abstract |
小脳は運動の制御や運動記憶を司る重要な器官である。小脳を構成する主要な神経細胞群の一つである小脳顆粒細胞は苔状線維からの入力を統合してプルキンエ細胞に出力する役割があり、小脳が機能的に働くことに大いに寄与している。本研究ではこの小脳顆粒細胞の神経分化を制御する因子Math1の下流で小脳顆粒細胞の性質を決定する遺伝子群の同定を目指す。本年度はMath1下流候補遺伝子としてMbh1に着目し、小脳顆粒細胞における発現制御機構と分化における役割を交付申請書の研究実施計画に沿って解析した。 1 小脳顆粒細胞におけるMath1とMbh1の発現解析 免疫組織染色およびin situハイブリダイゼーション法を用いてin vivoにおけるMath1, Mbh1の時空間的発現分布を解析した結果、Mbh1の発現に先立って小脳顆粒細胞でMath1の発現が観察された。更にMbh1遺伝子の発現制御領域にレポーター遺伝子lacZをつないだ遺伝子組換えマウス(Mbh1-lacZマウス)を用い、二重免疫染色により、Math1とβ-galの発現を同一細胞で確認した。 2 Anti-Math1抗体を用いたクロマチン免疫沈降法 1の観察を踏まえ、小脳組織を用いたクロマチン免疫沈降法を行い、Math1がMbh1の発現制御領域に結合していることを証明した。 3 電気穿孔法を用いた個体レベルでのMbh1の機能解析 生体内電気穿孔法を用いてMbh1-lacZマウスの小脳神経細胞にMath1を強制発現させる実験を行い、Math1がMbh1の遺伝子発現領域に結合し転写を活性化している可能性を示した。またMath1 siRNAの小脳顆粒細胞への導入により、Math1はMbh1の発現に必要であることを証明した。現在、生体内におけるMbh1の機能を解析するため、Mbh1の発現を効果的に抑制するsiRNAの配列を探索しているとともに、Mbh1のドミネガ体を用いた機能解析に取り組んでいる。
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Research Products
(1 results)