2006 Fiscal Year Annual Research Report
ハンチンチン結合タンパク質のなかから同定した新規転写因子
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18700354
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山中 智行 独立行政法人理化学研究所, 構造神経病理研究チーム, 研究員 (00381575)
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Keywords | ハンチンチン / ポリグルタミン / 転写因子 / 凝集体 / 神経疾患 |
Research Abstract |
ハンチントン病等のポリグルタミン病は、優性遺伝性の神経変性疾患であり、原因遺伝子内の翻訳領域のCAGリピートが正常型に比べ約2〜3倍に異常に伸長することによって生じる。結果、遺伝子産物のポリグルタミン鎖が伸長され、この伸長ポリグルタミン含有タンパク質が毒性を獲得することにより、神経細胞の機能障害、変性をきたすと考えられている。病態機序としては、伸長ポリグルタミン含有タンパク質が核内に凝集体(核内封入体)を形成すること、また、核移行を人為的に阻害すると神経変性効果が劇的に減少することから、核内が主要な作用部位であると考えられている。さらに、モデルマウス等を用いた遺伝子プロファイル解析から、特定の遺伝子の発現異常が作用点の1つであると考えられている。 私は、モデル細胞より精製された核内凝集体の網羅的質量分析より、変異ハンチンチン(伸長ポリグルタミン含有ハンチンチン)に相互作用するいくつかの転写制御因子群を新たに同定した。in vitro系における結合実験から、これら転写因子群の一つが変異ハンチンチンの凝集体と直接相互作用することを見出した。さらに、この転写因子は、凝集体だけではなく可溶性のハンチンチンとも直接相互作用することも明らかとした。興味深いことに、この転写因子存在下では、in vitroにおける変異ハンチンチンの凝集が阻害されることを示唆する結果も得られつつある。同様の結果は、培養神経芽細胞系でも観察されており、この転写因子が変異ハンチンチンの凝集制御に機能していることが示唆されている。 今後は、転写因子の機能に着目し、変異ハンチンチンの相互作用が転写因子の活性に影響するか、そのターゲット因子は何か等を解析していく予定である。
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