Research Abstract |
本研究は,主に中等度から重度の誤嚥を伴う嚥下障害(ワレンベルグ症候群など)患者を対象として,喉頭挙上を適切なタイミングと強さで行わせる経皮的電気刺激装置の開発を目的としている.電気刺激装置は,村岡が開発した筋電導出兼電気刺激装置を改変し応用する.本装置は,患者自身の随意的な筋活動を検出し,それに呼応して電気刺激を行うことが可能であり,より自然に近いスムーズな嚥下動作再建が期待できる.また,本装置は,刺激電極を記録電極としても兼用していることから、埋め込む電極数を半分にすることができ、埋め込み時間の短縮と、侵襲の低減化が可能である. 2年目となる平成19年度では,脳卒中患者2名において,電気刺激を行いながら,電極を刺入し(医師の研究協力者に依頼),電気刺激値に対し,最も効率よく収縮が発現する位置(運動点)を探索した.電気刺激による筋力増強後,嚥下造影を行いながら,探索した位置への電気刺激により,喉頭の挙上が可能であることを確認された.さらに,各筋肉の運動点に刺入した電極から,嚥下時の筋電波形を導出できることを確認した.ただし,表面電極による筋電波形の周波数成分と異なったため,アンプの再設計が必要と判断された. 本装置の適応および,効果判定のために,舌骨上筋群の筋張力を評価する装置を製作した.頸部屈曲トルクとして,舌骨上筋群の筋張力を評価するもので,固定用板と,頭部(額)固定用バンドをワイヤにて接続し,ワイヤの張力をロードセルにて測定することにより,頸部屈曲トルクを測定する.ワイヤとロードセル間に,ばねを差込可能なものを設計し,屈曲伸展運動中のトルクも測定可能なものを設計した.また,座位でも測定できるよう,本装置を車椅子に取り付けられるものとした.
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