Research Abstract |
頸椎損傷や筋ジストロフィーなどの重度障害者にとっては, 移動はもちろん, 電動車椅子の操作や福祉機器の利用にまで困難が伴う. この様な重度障害者のために様々な操作装置が開発されているが, 新たな操作装置の開発も望まれている. そこで, 我々は重度障害者においても温存され易い随意機能の1つである舌の機能に着目して, 舌で操作するマウスピース型の操作装置の開発を行っており, 13.56MHzタイプのRFIDチップを4個搭載したマウスピース型口腔内リモートコントローラーを試作している. 今年度は実際に口腔内に設置したin vivo状況下で下記の実験的検討を行い, 各結果を得た。 1. 〈通信特性に関する検討〉 当該口腔内リモートコントローラーから発信された操作信号は, 利用者の頬の横, 口腔の正面もしくは顎の下に設置したリードアンテナによって受信され, 専用コントローラーで制御される. そこで, これら各アンテナ設置位置に対して, 安定的に通信が行える最大通信距離(MCR)を測定した. その結果, MCRは18.9±8.60〜52.8±12.0mmであり, 頬脇もしくは口腔や顎の直下にアンテナを設置することにより, 安定的な通信が得られることが明らかとなった. 2. 〈操作性に関する検討〉 操作の容易性や操作の正確性を評価するために, 10名の被験者に「前/後進, 右/左折」の指示をランダムに120回与え, 操作の正確性を実験的に評価した. また, 操作し易いスイッチの硬さも併せて検討を行った. その結果, 低押下力で操作可能なSoft typeのコントローラーは, 過度の疲労時を除き, 約95%以上の正確性で操作されていることが分かった. 3. 電動車椅子の操作 市販の電動車椅子に上記システムを付設し, 当該口腔内コントローラーを用いた電動車椅子の運転・操作に成功した. 以上より, 開発した口腔内コントローラーの実利用の有効性が示唆された.
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