2007 Fiscal Year Annual Research Report
暑熱負荷による交叉適応を利用した低酸素トレーニング効果獲得の新戦略
Project/Area Number |
18700531
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
遠藤 洋志 University of the Ryukyus, 教育学部, 准教授 (90369926)
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Keywords | 低酸素 / 暑熱負 / 交叉適応 / トレーニング / HIF-1 |
Research Abstract |
昨年度の成績を受けて,今年度は暑熱負荷中に定期的運動を行なわせることで暑熱暴露中の運動機能減退を回避しつつ,低酸素への交叉適応を惹起し,好気的運動能(走能力)を改善することが可能かどうかを検討した(実験1).また当初の暑熱負荷の設定温度(34℃)は,マウスの長期生存温度範囲の限界付近でため,今回あらためて暑熱負荷により走能力が改善する設定温の条件を検討した(実験2).実験1では10週令のICRマウスに慢性暑熱(室温34℃)を30日間負荷したマウス(暑熱群)と室温24℃で同期間飼育したマウス(対照群)に傾斜角5度のトレッドミル走(走速度15〜20m/min,中等度強度)を週5回の頻度で実施した.走運動の時間は10分より漸増し3週目より60分間に固定した.その結果,正常酸素濃度環境の常温下(sea level,25℃)において計測した走運動継続時間は,暑熱群(n=6)よりも対照群(n=6)が延長する傾向にあり(それぞれ66±11および74±7分),依然として暑熱暴露によるネガティブな影響が示唆された.そこで,暑熱負荷(設定温)を当初の予定より若干軽減し,新たな暑熱群(32℃,n=8)にて実験1と同様の検討を行なった.すると,有意差はないものの暑熱群(32℃)の走運動時間(76±4分)が対照群(74±7分)よりもやや延長する傾向が認められた.この結果は,信頼性を十分に検証する必要があるため,引き続き例数を増やした検討を行なう必要がある.さらに,暑熱群の走能力がsealevelにおいて対照群と同等であっても低酸素環境下では異なることも考えられる.現在,これらの検討を継続しつつ,当初から予定していた機序検討(骨格筋等における低酸素誘導因子HIF-1の蛋白発現量の定量)を実施している.
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