2008 Fiscal Year Annual Research Report
高度経済成長後の政府間補助金を通じた地域間所得再分配政策に関する日韓比較研究
Project/Area Number |
18700685
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梶田 真 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (40336251)
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Keywords | 政府間補助金 / 日本 / 韓国 / 地域間所得再分配 / 高度経済成長 / 地方行財政 |
Research Abstract |
当初, 本年度は過去2年間において作成した日韓の自治体別地方財政データベース利用した地域間所得再分配に関する日韓比較分析および日韓両国での現地調査を予定し, その成果を取りまとめる計面であったが予定を変更して日本の政府間補助金に特化した分析を行った, これは, 当初の計画では想定されていなかった, 地方交付税制度の抜本的な改革が進められたこと, 具体的には, 2007年度の包括算定経費(いわゆる新型交付税)の導入と2008年度の地方再生対策費の設置が行われたことによるものである. 本年度は, 既存の研究成果をまえた上で, これらの改革がどのような地的影響を及ぼしたのかを正確に捕捉する作業を進めた.具体的には(1)北海道, (2)栃木県, (3)富山県, (4)大分県の各道県に関する市町村別・行政項目別の基準財政需要額テータを2006〜2008年度(2008年度は現在も収集中)について収集し, 需要額の変化の地域差およびその要因について検討を行った. 近年の地方交付税改革は財政需要の算定方式を単純化し, 各自治体の(将来的な交付税額に関する)予測可能性を高め, 算定に恣意性が入らないようにことを目的としている. しかし, 実際には地域条件の捕捉能力が著しく低下したために, 都市-農村間だけでなく, 農村同士でも改革の影響には大きな地域差があり, 緩和措置として追加的な行政項目・補正の検討を余儀なくされている. 他方, 分析作業の中で「平成の大合併」に伴う合併算定替により、現在公表されているデータだけでは基準財政需要額の算定構造の本質的な変化を正確に捕捉することが困難になっていることが明らかになった。2008年度に関する自治体別決算テータの公表にはもう少し時間を要するため, 分析結果については2009年度秋もしくは2010年春に口頭での発表を予定している. 韓国に関する分析は最新年度の資料公刊に伴うデータベースの更新作業を実施するにとどまっているが、上記した近年の日本の制度改革の動きの方向性を見据えた上で, なるべく早い時期に日韓の政府間補助金を通じた地域間所得再分配のタイナミクスに関する比較分析の結果を取りまとめ, 成果を公表する予定である.
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