2008 Fiscal Year Annual Research Report
全国を対象とした淡水魚類生息地ポテンシャルの時空間解析と流域再生支援システム
Project/Area Number |
18710029
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
亀山 哲 National Institute for Environmental Studies, アジア自然共生研究グループ, 主任研究員 (80332237)
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Keywords | 流域環境管理 / GIS / 自然再生 / 淡水魚 / レッドデータ / 生息適地推定 / 一般化線形回帰モデル / 絶滅危惧種 |
Research Abstract |
研究最終年度である平成20年度では,国内淡水魚類のGISデータベースを完成すると共に,実際の生息地調査結果と照合して統計的に有意な生息地要因を決定した。また,生息地ポテンシャル(生息確率)の推定式を個々の対象魚種別に作成した。さらに,その成果を環境省レッドデータブック記載種に応用し,近年(全国規模での淡水魚類データ整備が完成している2002年)の生息地適地評価を全国規模で行った。最終的に完成したシステムの入力パラメターを過去(1977年のデータに置き換え,25年間分の生息地状況の変化を逆推定した。これらと並行して,モデルの精度検証を行い,過去と在の淡水魚類の生息地ポテンシャルの差を求めることによって,任意の期間の生息地環境の劣化(または改善)とその要因を議論した。 研究遂行の流れは以下のとおりである。 1)魚類生息情報の最終確認。→淡水魚データベースの中から統計処理可能な捕獲数の得られている種を選定し,種名調査・位置調査年,該当種の有無,調査年等を入力パラメター化した。 2)生息地属性の空間的結合→魚類生息地点から最短距離かつ同じ河川区間に存在する水質調査地点を自動抽出し,環境属性情報として追加した。さらにこの環境情報を基に生息適地ポテンシャル推定モデル(一般化線形回帰モデル)を開発した。ここで対象種の生息地条件として必要な項目とその重要度に関してパラメター中の寄与率を決定し,生息環境の劣化(または改善)項目の整理を行った。 3)最終年度の研究成果取りまとめ→生息地ポテンシャルの計算システムに対し,過去のデータ(ダムによる流域分断の有無やダム建設後の経過年数,またその当時の水質等)を与え,過去の生息地環境を逆推定した。最終的に,過去と現在の生息地ポテンシャルの差分と推定の際に選択された生息地環境要因を基に議論を進め、最終成果をGISを用いて全国的に地図化した。
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