2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール界面修飾を用いた有機発光トランジスタの開発
Project/Area Number |
18710091
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
竹延 大志 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (70343035)
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Keywords | 有機トランジスタ / 発光 / 分子性固体 / 単結晶 / 界面制御 |
Research Abstract |
本研究の目的は、有機単結晶を用いた発光トランジスタの開発である。トランジスタの活性層が光る有機発光トランジスタは、スイッチング特性を兼ね備えた次世代の光素子としてだけでなく、将来のレーザー発振の可能性を含めて非常に注目されている。特に、レーザー発振の実現には高密度の電子・ホール両キャリアが有機半導体中で高効率に再結合する必要がある。そのため、両キャリア蓄積可能な両極性トランジスタを用いた発光トランジスタが理想的であるが、概念のみでデバイス実証には至っていない。本研究では、高性能両極性トランジスタを作製する上で大きな問題となっている、伝導・注入・蓄積の三問題をナノスケール界面修飾導入によって解決し、初めての有機発光両極性トランジスタ作製に挑む。そして、発光トランジスタが世界初の有機レーザートランジスタ開発へと展開するための足がかりとする。 今年度は、伝導の問題は単結晶を用いる事で高易動度を実現し、注入の問題は様々な仕事関数の電極金属を導入する事で解決した。さらに、蓄積の問題はPMMA絶縁膜を用いる事で電子の蓄積を、通常ホールのみしか蓄積出来ないルブレン単結晶で実現した。さらに、発光分子であるテトラセンに対しても同様の実験を行い、最終的には結晶成長からデバイス測定まで全て嫌気下で行う事で、単結晶初の両極性発光トランジスタの実現に成功した。この時、単結晶の高易動度を反映して有機ELの限界値である1A/cm^2の1000倍以上という超高電流密度下での発光観察に成功しており、今後の発光トランジスタからのレーザー発振の可能性を実証した。
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