2006 Fiscal Year Annual Research Report
生物分子モーター1分子のメガヘルツ応答計測と熱ラチェット型メカニズムの解明
Project/Area Number |
18710110
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西山 雅祥 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (10346075)
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Keywords | 分子モーター / キネシン / 1分子計測 / 光ピンセット / 熱ラチェット機構 |
Research Abstract |
本研究の目的は、生物分子モーター・キネシンは、どのようにしてATPを加水分解して得られる化学エネルギーを微小管に沿ってステップ状の変位へと効率よく変換しているのか、その仕組みを明らかにすることにある。本年度は、光ピンセットを用いたナノメートル計測装置の改良を行いながら、キネシン1分子が発生するステップ状変位の運動解析を行った。キネシンのステッピングレイト(ステップ間の時間間隔の逆数)は、ステップの方向性に関わらずミカエリスメンテン型のキネティクスと一致し、みかけのKmが力に依存せずほぼ一定であるのに対して、Vmaxは力と共に減少することが判明した。これは、光ピンセットにより加えられる力が、ATPの結合解離反応にはあまり寄与せず、キネシン-微小管間の結合解離反応には大きく影響することを意味する。また、高圧力顕微鏡を用いて、キネシン-微小管系のin Vitro運動アッセイを行ったところ、圧力ム滑り速度関係は、光ピンセットを用いて得られた力-速度関係と非常によく似ていることが明らかになった。一般に高圧力をかけることで、タンパク質表面の水和状態が変化し、疎水性相互作用や静電性相互作用が弱められることから、水分子による遮蔽効果によりキネシンは微小管に結合しにくくなることになる。以上の結果から、キネシンは、微小管との相互作用を巧妙に変化させることで結合解離を繰り返し、効率よくステップ状の変位を生み出していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)