2006 Fiscal Year Annual Research Report
グラフ・ネットワーク上のゲーム理論に対するアルゴリズム理論的厳密アプローチ
Project/Area Number |
18710130
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
岡本 吉央 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (00402660)
|
Keywords | 組合せ最適化 / ゲーム理論 / アルゴリズム / グラフ / ネットワーク / オペレーションズ・リサーチ / 公平配分問題 / 多主体意思決定 |
Research Abstract |
組合せ最適化とゲーム理論の境界に跨る問題について次のような基礎的研究を行なった.(1)コア安定性問題に関する研究.コア安定性問題とは,コアと安定集合という重要な解概念が一致するような譲渡可能効用協力ゲームを特徴付ける問題のことであり,協力ゲーム理論における最も重要な未解決問題の1つである.本年度,この問題を組合せ最適化の立場から眺めた論文を権威の高い論文誌Mathematics of Operations Researchに発表した.この立場に基づく視点は他研究者にも取り込まれるようになり,1つの研究潮流を作ることとなった.このテーマは次年度以降も継続し,問題の最終解決を目指していく.(2)最小費用全域木ゲームの劣モジュラ性に関する研究.最小費用全域木ゲームと呼ばれる協力ゲームが劣モジュラであるための条件を考察した.未だ完全な解決には到っていないが,劣モジュラ最小費用全域木ゲーム全体の成す空間が幾何学的に凸ではない,という観察であり,これにより,劣モジュラ性に対する必要十分条件を発見することのある種の困難さが立証された.今後は,劣モジュラ最小費用全域木ゲーム全体の成す空間の幾何学的性質について深く考察を進め,アルゴリズム的な帰結を導く予定である.(3)最小費用全域木ゲームのシャプレイ値計算アルゴリズムに関する研究.シャプレイ値という重要な公平配分概念に対してアルゴリズム理論の見地から接近した.そして,この問題の本質的な難しさがグラフにおけるある種の数え上げ問題に帰着されることを発見した.今後は,この帰着された問題に対する理解を深めて,シャプレイ値計算の本質に迫る予定である.その他,本年度は幾何学的最適化,離散幾何学,グラフ・アルゴリズムに関する研究も行なった.
|
Research Products
(4 results)