Research Abstract |
前年度までの研究で明らかとなった,ゲーム理論的問題とグラフにおける数え上げ問題の関連を踏まえて,グラフにおける数え上げ問題に関する基礎研究を行った.その中でもマッチングや森と呼ばれる部分構造を数え上げる問題に対して,考えるグラフクラスを制限した場合に,問題が効率よく解けるのか,または,効率よく解くことができなそうであるのか,ということを見極める結果を得た.また,弦グラフおよび弦二部グラフと呼ばれるグラフクラスに注目して研究を行い,与えられた2つの弦グラフの一方に含まれ,もう一方を含む弦グラフを数え上げる問題の困難性についても研究を行った. それに加えて,幾何学的なネットワークに対する公平配分問題への応用を踏まえて,簡単な幾何的環境である多角形領域における最短路問題に関する研究を行った.特に,最短路検索問題に対して,Davenport-Schinzel列と呼ばれる組合せ構造が重要な役割を果たすことを発見し,従来の結果から効率性を大幅に改善した.また,意思決定の際に重要となる情報可視化技法について,特に,系統学の応用がら現れる2つの根付き木を視覚的に比較する方法に関するアルゴリズム的な研究を行った. これらの研究成果と前年度までの研究成果は国内・国外の研究会・シンポジウムで発表した.また,ゲーム理論とアルゴリズム理論の境界にある話題について,ナッシュ均衡計算の複雑さ,および,協力ゲーム理論に対するアルゴリズムに関する招待講演を行った.
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