2006 Fiscal Year Annual Research Report
亜鉛フィンガータンパク質間相互作用に基づく親規転写促進分子の創製
Project/Area Number |
18710183
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今西 未来 Kyoto University, 化学研究所, 助手 (80362391)
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Keywords | DNA結合ドメイン / 亜鉛フィンガータンパク質 / タンパク質間相互作用 |
Research Abstract |
転写因子GATA-1、Sp1亜鉛フィンガー間でのタンパク質間相互作用を解析し、そのDNA結合への影響を検討した。それぞれの亜鉛フィンガードメインとその変異体を遺伝子工学的手法および大腸菌発現系を用いて調製した。その結果、GATA-1のC末端側の亜鉛フィンガーとSp1亜鉛フィンガーとが相互作用することが確認できた。変異体を用いた相互作用の解析を重点的に行ったところ、フィンガー欠失体やリンカー置換体などの種々のSp1変異体においてもGATA-1との弱い相互作用は保持されることから、GATA-1とSp1の相互作用には、Sp1の3つの亜鉛フィンガーモチーフ全てが寄与していることが示唆された。また、タンパク質間相互作用がDNA結合に与える影響を検討したところ、Sp1存在下でGATA-1亜鉛フィンガーのDNA結合親和性は影響を受けないが、GATA-1亜鉛フィンガー存在下でSp1亜鉛フィンガーのDNA結合親和性が上昇するという興味深い結果が得られた。さらに、Sp1亜鉛フィンガードメインを直列に連結した6-亜鉛フィンガーを調整した。6-亜鉛フィンガーはin vitro系で、DNA結合平衡に到達するのに長時間(>24hr)を要するが、GATA-1亜鉛フィンガーを共存させることによって、30分の反応でGATA-1非存在下と比べて10倍以上の親和性を示し、DNA結合平衡に速やかに到達することが明らかとなった。これらの結果は、タンパク質間相互作用がDNA結合活性を調節できることを示唆している。さらに、相互作用の大きさをカロリメトリーを用いた物理化学的測定によって評価したところ、これら2つの亜鉛フィンガードメインの結合は、解離定数が10^<-4>M程度という弱い相互作用であることが示唆された。
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