2007 Fiscal Year Annual Research Report
占領下(1940-44年)におけるパリ市芸術局の音楽政策
Project/Area Number |
18720026
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
田崎 直美 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 研究員 (70401594)
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Keywords | 音楽 / 文化 / 政策 / フランス / パリ / 占領 / 20世紀 / 第二次世界大戦 |
Research Abstract |
本研究の目的は、占領下(1940-44年)という特殊な状況にあったパリ市独自の音楽政策の実態検証し、それをパリ市行政の歴史の中で位置付けることである。そのために本年度は、次の二つの点を中心に研究を行った。 1.パリ市芸術総監本部*〈IGBA)による定期演奏会事業の評価の検証 昨年度は占領下に薪設されたIGBA(Inspection general des Beaux-Arts(de la Ville de Prais))が主導する定期演奏会事業の内容について、公文書を中心とする史料調査を行った。本年度はその結果をもとに追加史料調査を行った上で、この音楽政策が1) 当時の市民に与えた影響、2).ドイツ当局の承認の有無、3)(ヴィシー)政府からの評価、および4)パリ解放直後のパリ市音楽政策との連続性の有無、について、その一端を明らかにした。ドイツ当局の承認も得て体系的かつ多様な内容の演奏会を実施したにもかかわらず、政府および後世の評価が得られなかつた点は注目に値する。 2.パリ市主催「音楽コンクール」(1876-1942)の検証 IGBAが占領下に行らた音楽政策の一つで、唯一第三共和政期からの連続性を持つものが、「音楽コンクールConcours musica1」であった。本年度はこの連続性が持つ意義を探るべく、パリ市公文書館Archives de Parisが保管するコンクール関連史料(1876-1942年、計18回分)について基礎的情報の収集と整理を行い、さらに当時の音楽批評記事の調査も併せて、その実態について検証した。その結果、第三共和政時代に確立していたコンクールの体制、すなわち市会議員が審査に直接関与することで芸術「価値」のコントロールを試みる体制が、占領下にて国家プロパガンダを行うのに好都合であった点が浮かび上がってきた。
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Research Products
(1 results)