2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18720041
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Research Institution | Kyushu National Museum |
Principal Investigator |
畑 靖紀 独立行政法人国立博物館九州国立博物館, 学芸部企画課特別展室, 研究員 (80302066)
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Keywords | 中国文物 / 足利将軍家 / 会所 / 唐物飾り / 『室町殿行幸御餝記』 |
Research Abstract |
室町時代の中国文物に対する認識の基盤を解明しようとする本調査研究では、当時の中国文物受容の枠組みを規定した足利将軍家の評価・意義付けを主要な課題として下記の3つの観点から考察した。 (1)文献資料、特に後花園天皇(1419-1470)の室町殿行幸を記録した『室町殿行幸御錺記』(永享9年:1437)の記載に注目して、伝来する同書の写本を校訂した。その内容をもとに会所附書院に飾られた文房具などの唐物飾りの組み合わせを分析して、その陳列方法および陳列装置との関わりを考察した。 (2)現存する中国美術・工芸のうち日本で唐物飾りとされたものと同種の作品を調査して、その基礎的なデータを収集した。特に国立故宮博物院(台北)において開催された「大観-北宋書画特別展」および「大観-北宋汝窯特別展」において、山水画を中心とする中国絵画や著名な官窯の青磁などの中国工芸などを詳細に観察し、特に室町時代の美術に大きな影響を与えた中国・宋時代の美術に関する具体的な知見を得ることができた。 (3)足利将軍家による中国文物受容の枠組みを相対化する試みとして、山口・大内氏の様相を現存作品や文献資料から考察した。また大内氏のもとで制作活動を繰り広げた画家・雪舟(1420-1506?)の作品に注目し、特に代表作として知られる四季山水図巻(山水長巻、毛利博物館)について考察を行い、当時の政治的な文脈との関係から制作意義を指摘した。 以上の成果をもとに、足利将軍家における行幸・御成などの展示契機、邸宅・寺院の空間意識と唐物飾りの意義などを考察することが今後の課題である。
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Research Products
(1 results)