2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本近代文学における19世紀アメリカの廉価版小説の影響
Project/Area Number |
18720048
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
堀 啓子 Tokai University, 文学部, 講師 (60408052)
|
Keywords | Bertha M. Clay / Gregory Drozdz / Mary Elizabeth Braddon / Mrs. Emma D. E. N. Southworth / 黒岩涙香 / 萬朝報 / 森田思軒 / 尾崎紅葉 |
Research Abstract |
今年度は、まず黒岩涙香および同時代の翻訳・翻案作家に影響を与えたアメリカの廉価版小説作家Bertha M. Clayの作品を調査し、現段階で確実にBertha M. Clayから影響を与えられたとされる日本の小説を、原著と考えられるBertha M. Clayに対応させ、それらをリスト化した。同時に、これらの作品の作者に影響を与えたとされるBertha M. Clay以外の要素(具体的には、他の廉価版作者の原著、同時代の邦人作者の作品など)を除き、どのような文脈がなぜBertha M. Clay作品に対応させられ、あるいは異同が生じたのかを考察した。この結果については、昨年夏に開催されたSHARP(Society for the History of Authorship, Reading and Publishing) Minnesota 2007において研究発表を行い、学会会報(SHARP News Autumn 2007)にて"some individual papers deserve special mention for their excellence"とされる2つの発表のうちの1つに挙げられた。また、同大会で次年度の学会開催委員より同研究を進展させ、2008年度コペンハーゲン学会で発表することを奨励され、今年1月にpaperが受理されている。またBertha M. Clay以外の廉価版作者Mary Elizabeth Braddon、Mrs. Emma D. E. N. SouthworthおよびMary Corelli についても調査を広げ、特に森田思軒も多大な影響を受けているMary Elizabeth Braddonの、Lady Audley's Secretに関して、この同じ作品をもとに翻案された思軒の「隔簾影」と涙香の「捨小船」の比較を行ない、思軒の周密文体と涙香の換骨奪胎方式との相違と、固有名詞の日本化の作業段階を明らかにした。
|
Research Products
(4 results)