2006 Fiscal Year Annual Research Report
関西文壇・出版研究ー中央文壇と海外文学との横断的関連ー
Project/Area Number |
18720054
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
増田 周子 関西大学, 文学部, 助教授 (30294664)
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Keywords | 瀬戸内寂聴 / 宇野浩二 / 台湾 / 関西文壇 / 海外 / 大阪 |
Research Abstract |
本年度は、全般的な調査・研究を徹底的におこなった。夏季休暇中、およそ十日間にわたり、台湾大学や台湾の国会図書館を利用し、台湾における日本統治時代の文学状況を綿密に調べた。特に関西出身の作家、宇野浩二や与謝野晶子と台湾などの関連が見いだせた。資料調査にあたっては、台湾大学 徐興慶先生、静宜大学 曽煥棋先生にお世話になった。 また、徳島県立文学・書道館および、国立国会図書館、大宅壮一文庫、日本近代文学館などを利用して、現在瀬戸内寂聴の書誌を作成中である。瀬戸内寂聴は、徳島出身で京都在住の作家であるが、世界的な評価を受け、国際ノニーノ賞、文化勲章、文化功労賞などの栄誉ある賞を受けている。文壇でも世話好き作家として有名で、オペラや人形浄瑠璃や歌舞伎の脚本、古典文学の現代語訳などと幅広く手がけ、海外でも上演や朗読されるに至っている。これらの、海外での知名度を考えると、海外文壇と関西文壇との横断的関連性を考える上で、瀬戸内寂聴を研究することは意義のあることと思われる。そこで、本年度から、より精力的に研究を行っている状況である。本年度は、「寂聴文学の世界」と題して『徳島新聞』に「文壇登場まで」「文壇復帰から純文学へ」「出家へ」「出家以後」の四回の連載記事を掲載した。今後は、作品や足跡を辿り、ますます研究を発展させたいと考えている。 その他、国立国会図書館、関西大学図書館、島根県立国書館などを利用して、大阪在住作家杉山平一の研究を行った。杉山平一は、東京大学出身で、中央文壇とも関係していたので、関西と中央を繋ぐ意味で興味深い。また、「宇野浩二未発表書簡二十八通-竹村坦・加藤朝鳥・加藤寿々子・福永渙・石村一郎・大江勤・小川正夫・宮西豊逸・矢倉年宛-」を翻刻・発表し、竹村書房とのやりとりから、関西出身作家宇野浩二と竹村書房との出版研究をおこなった。宇野浩二の書簡は、興味深く、出版社や、編集者宛の書簡からは、関西文壇・出版研究の事情が読み取れる。今後も、収集を続け、今ではわからなくなった出版事情を明らかにしていきたい。
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Research Products
(1 results)