2007 Fiscal Year Annual Research Report
関西文壇・出版研究-中央文壇と海外文学との横断的関連-
Project/Area Number |
18720054
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
増田 周子 Kansai University, 文学部, 准教授 (30294664)
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Keywords | 関西 / 台湾 / 民謡 / 文芸運動 / 出版文化 / モダニズム / 文学 / 雑誌 |
Research Abstract |
本年度は、関西の作家や大阪文化について調べ論文を作成した。特に、宇野浩二、大阪のカフェに関する事項などについて調査を行い、関西の作家たちを東京や海外との関連の中でとらえ直す研究を行った。 論文として、宇野浩二未発表書簡を発表した。井上靖、中野重治、宇野浩二の交流を示すものである。宇野浩二の後進作家への心遣いやアドバイスなどがみられるもので、『宇野浩二全集』(中央公論社)全12巻には、収録されていない書簡である。大阪の代表作家の宇野浩二の、文壇への影響がわかる貴重な文献を紹介できた。 また、大阪におけるカフェは、文藝サロンの役割を果たし、文学を活性化させてきた。海外においても同じで、世界的に共通の動きをみせている。海外のカフェは、東京にもたらされ、大阪にも広がっていった。それらの諸相を考察した。ヨーロッパの「パンの会」などの文藝サロンに日本の文学者達がいかに憧れ、倣っていったのか、カフェから出た貴重な雑誌の文学的価値などを論じた。結果として、関西のモダニズムを再評価することができた。 日本の新民謡運動を担った作家達が植民地台湾に何をもたらしたのかを検討し、日本新民謡運動の隆盛と植民地台湾との関係を考察した。特に、台湾の雑誌『わかくさ』に掲載された、西条八十作「台湾音頭」をめぐる剽窃騒動に関しての問題を検討した。また、近代日本新民謡運動が展開する中で、昭和10年代前後に「民謡」の概念が変遷し、変化していったことを国際シンポジウムにて発表し、論文にまとめた。日本新民謡運動を担った作家達の、日本と植民地の文化交流や文化摩擦などの一端がわかった。
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Research Products
(5 results)