2008 Fiscal Year Annual Research Report
関西文壇・出版研究-中央文壇と海外文学との横断的関連-
Project/Area Number |
18720054
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
増田 周子 Kansai University, 文学部, 教授 (30294664)
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Keywords | 文壇 / 関西 / 東アジア / 出版文化 / 文化交流 / 展開 / 文学 / 変容 |
Research Abstract |
近現代の関西文壇や出版の状況は、まだ全貌が分からないことが多い。「関西文壇・出版研究-中央文壇と海外文学との横断的関連-」という研究テーマでは、出版や文壇の状況を把握することを目的とし、東アジア諸地域の文壇が関西の作家や出版状況に与えた相互影響関系や、関西の作家と中央文壇(東京)とのつながりについて研究した。日本近代文学館、神奈川近代文学館、福岡市立総合図書館、中国山東省博物館、国立国会図書館などを利用して、多くの資料を収集し、関西の作家を中心とした日中文化交流の諸相や意義についても研究した。中華人民共和国成立期における日中文化交流の意義を、第一回「中国訪問日本文学代表」の交流を中心としてとして考察した。関西出身で、関西文壇にも中央文壇にも多大な影響をもたらした作家宇野浩二は、久保田万太郎、青野季吉らと共に、新中国を訪問し、『東京新聞』に「新中国見聞記」を連載した。郭沫若や陽翰笙ら中国の文化人らとも交流し、親交を深めだことも分かつた。この、宇野浩二らの中国訪問は、1956年の、文芸上の注目すべき話題として、「文芸年鑑』(1957年)にも大きく取り上けられている。日本文学と海外の文学との横断的関係を研究したもので、大きな成果をあげることができた。 その他、浅草生まれで、戦後詩文壇を引っ張った関根弘と、関西出身の作家野間宏との「狼論争」という詩の論争をとりあけ、関西文壇と東京文壇の思想的相違や、戦後の文壇の混乱の動向を研究した。特に、関根弘は、多くの詩雑誌の編集に携わっていたので、詩雑誌の出版文化研究の一助となる研究成果をあげることができた。
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Research Products
(3 results)