2007 Fiscal Year Annual Research Report
シェイクスピア受容史再考-翻訳・ナショナリズム・ジェンダー
Project/Area Number |
18720065
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
近藤 弘幸 Tokyo Gakugei University, 教育学部, 准教授 (00302901)
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Keywords | シェイクスピア / 翻訳 / 条野採菊 / 宇田川文海 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度の成果を受け、引き続きシェイクスピア受容史関連資料の収集および分析をおこなった。とりわけ、明治日本における『オセロー』受容た関する考察をおこなった。 明治日本における『オセロー』受容た関しては、条野採菊の『痘痕伝七郎』や川上音二郎一座による『正劇オセロー』公演が広く知られており、これらに関しては、先行研究も存在する。しかし、これまで受容史においてまったく語られなかった作品として、宇田川文海が『大阪毎日新聞』に連載した『坂東武者』が存在する。本年度は、同作品を発掘し、『痘痕伝七郎』と比較・検討・分析をおこなった。さらにその結果を日本英文学会関東支部一月例会におけるシンポジウム「シリーズ名作を読む(2)-『オセロー』」において発表し、シンポジウム・メンバーおよび聴衆と討議・検討をおこなった。初期の翻案受容において、オセローの「黒さ」は、「美醜」の問題に置き換えられているが、それが「翻訳上演」へ移行する場合、「黒塗り上演」(リアリズム路線)を選択すれば、それは人種的ステレオタイプの反復となり、「黒塗り上演」を拒否(非リアリズム路線)すれば、それは「黒さ」の否定へとつながってしまうと指摘し、日本における『オセロー』の「翻訳上演」は可能なのか?という問題提起をおこなった。
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Research Products
(1 results)