2006 Fiscal Year Annual Research Report
中世末期日本語のテンス・アスペクト・モダリティに関する記述的研究
Project/Area Number |
18720124
|
Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
福嶋 健伸 実践女子大学, 文学部, 講師 (20372930)
|
Keywords | テンス・アスペクト / モダリティ / 〜ウズル・〜ウズ・〜ウ / 中世末期日本語 / 〜テイル・シテイル / 〜テアル・シテアル / 文法化(Grammaticalization) / 動詞基本形(スル) |
Research Abstract |
本研究の目的は、中世末期日本語のテンス・アスペクト・モダリティ体系を明らかにし、その体系の言語学的な位置づけを明確にすることである。具体的な調査対象とした形式は、動詞基本形(スル)、〜ウ・〜ウズル、〜テイル、〜タ等の当時のテンス・アスペクト・モダリティ体系を考察する際に必要不可欠なものに絞っている。 本年度は、中世末期日本語の原因・理由節(〜ホドニ、〜ニヨッテ、〜トコロデ)、及び目的節(〜タメニ)の節述語を調査し、以下の分布の偏りを指摘した。 原因・理由節について: 中世末期日本語の原因・理由節において、節述語が動詞基本形である場合、ほぼ全てが,従属節事態先行型か従属節主節事態同時型であり、従属節事態後続型である割合は極めて少ない。 目的節について: 中世末期日本語の〜タメ(ニ)節においては、節述語が動詞基本形である例の割合が少なく、節述語が〜ウ・〜ウズ(ル)である例の割合が多い。 上記の指摘は、当時の動詞基本形が相対テンスの<以後)を表しにくいことの証拠である可能性があり、当時のテンス・アスペクト・モダリティ体系を考える上で、看過できない重要な分布の偏りである。そこで、この研究成果の一部を、第86回関東日本語談話会(於:八洲学園大学、2006年6月日発表、単独発表)において発表した。現在、鋭意、投稿の準備を進めている。
|