2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本人英語学習者による感情表現の習得過程-ライティングとスピーキングにおいて-
Project/Area Number |
18720149
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
金子 育世 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 講師 (00360115)
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Keywords | 第二言語習得 / 習得過程 / 日本人英語学習者 / ライティング / スピーキング / 感情表現 / 文字言語 / 音声言語 |
Research Abstract |
日本人英語学習者のライティングにおける感情表現とその習得過程を観測するため、生成実験(作文)を実施した。日本人大学生を被験者として2つの課題のもとに手紙を書いてもらい、米語母語話者の書いた同課題の手紙と比較した。被験者それぞれの感情表現が日本語と英語でどのように異なるかを観測するため、課題は「付き合って3年目の記念日に恋人に渡すラブレター」と「大学入学前にとてもお世話になった先生が亡くなったことについて、その先生の家族に送るお悔やみの手紙」とした。 日本人被験者は全て、TOEICにおいて600点以上の英語能力を持つ大学生とし、4回のセッションに分け、日本語と英語で同じ課題の手紙を書いてもらった(合計4通)。ライティングの所要時間には制限を設けず、辞書の使用も許可した。米国人被験者については、2回のセッションで同じ課題の手紙を英語でのみ書いてもらった(合計2通)。日本人被験者と同様に、ライティングの所要時間、辞書の使用について特に制限を設けなかった。 日本人被験者によって生成された資料(手紙)に関して、分析的評価および特定要因の評価を行い、感情表現を中心に米語母語話者のものと比較、分析を行った。手紙の長さ(文字数)や使用されている構文の複雑さなどから、日本人被験者において感情表現の習得度とTOEICのスコアの相関関係を示唆する傾向が観察された。 今後は、日本人被験者による日本語の手紙と英語の手紙を比較し、第一言語と第二言語における類似点と相違点を検討することを予定している。また、スピーキングにおける生成実験を実施し、感情的プロソディとその習得過程を観測することにより、文字言語と音声言語における類似点と相違点を明確にすることも計画している。
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