2008 Fiscal Year Annual Research Report
ニヴフ民族の口承文学資料の再検討と生活史における位置づけの研究
Project/Area Number |
18720240
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
丹菊 逸治 Tokyo University of Foreign Studies, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (80397009)
|
Keywords | ニヴフ(ギリヤーク) / 民族学 / 口承文学 / 文化人類学 / 生活史 / 少数民族 / 言語学 / 音声資料 |
Research Abstract |
最終年度は資料の分析に重点をおいた。また補完的な海外調査を2009年2月15日〜3月8日の日程で行なった。また研究成果の一部を刊行した。 (1) 資料の分析 高橋盛孝・ピウスツキらによる採録資料には父系リネージに関する伝承が含まれている。一方で語り手個人の体験も反映されている。体験談ジャンルだけでなく、物語ジャンルにおいても生活史の影響がみられる。各個人の生活環境・交流関係はしばしば父系リネージ集団を大きく超える。シュテルンベルグやピウスツキの採録資料においては、語り手個人のシャマン的資質などが反映されている。研究成果としてはまず現在の語り手に関する報告書を刊行した。 (2) 補完調査 サハリン中部ポロナイスク市にて、高橋盛孝・山本祐弘らの調査に協力したニヴフ語話者の遺族らから本研究テーマである言語資料と生活史に関する聞き取り調査を行なった。また、サハリン南部ユジノサハリンスク近郊のドリンスク町にて、研究代表者(丹菊)自身が過去に採録した音声資料の分析を話者の協力を得て行なった。今回の補完調査は、今後の研究につながるものとなった。つまり、比較的近年の研究資料(研究代表者自身の採録資料)ですら、見直しが必要であることが確認された(生活の近代化、共同体の変化が急速であるため)。また、言語学者G・オタイナーによって1970年代に採録された音声資料の内容がある程度確認できた。同資料が整理・公開されればニヴフ語・ニヴフ伝統文化の研究は大きく進展するはずである。
|
Research Products
(4 results)