2006 Fiscal Year Annual Research Report
「法の移植」論のアジア法への応用:インドネシア法へのオランダ法学理論の影響から
Project/Area Number |
18730013
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Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
島田 弦 名古屋外国語大学, 外国語学部, 講師 (80410851)
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Keywords | 比較法学 / アジア法 / 法と開発 / インドネシア法 / 法の移植 |
Research Abstract |
インドネシア法形成へのオランダ法学理論の影響について、平成18年度に、19世紀後半のオランダ法学界において起きた歴史法学論争と、オランダ政府による植民地法政策との関連を明らかにする研究を行った。 オランダ・ライデン大学法学部においてオランダ歴史法学および東インド植民地法政策に関連する資料の調査・収集を行い、また、インドネシア国立ガジャマダ大学を中心に法制史、慣習法および法文化研究に関する資料調査および聞き取り調査を行った。 しかし、当初想定していたより多くの文献資料および研究が存在していることが明らかになったため、資料読解をもっぱら行い、昨年度中は暫定的な研究成果を発表するにとどまった。 具体的には、次のような研究成果の公開を行った。 (1)アジア法学会研究総会、「インドネシアにおける腐敗の法的問題としての考察」(北海道大学、2006年6月25日):インドネシアにおける汚職の法的問題について、インドネシアにおける汚職問題の文化的・経済的背景、および、汚職対策の歴史的経緯を検討した後、1998年(スハルト大統領辞任)以降の同国の汚職対策への取り組みを題材にその課題と展望を考察した。 (2)「(科学研究費基盤研究S)<法のクレオール>と主体的法形成の研究」に係る研究報告会、「インドネシアにおける『アダット法』概念の形成とオランダ法学」(北海道大学、2007年3月26日):東インド植民地の法政策について、オランダにおける自由主義法学と歴史主義法学の関係を中心に考察を試みた。 また、本研究テーマと関連して、インドネシア・アチェ州に関する慣習法の変遷過程と外国法の影響について、津波復興プロセスに於ける法の役割という観点からの研究を行い、名古屋大学環境学研究科より出版された報告書に論文(「アチェ津波災害復興プロセスにおける法の役割」)を掲載した。
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Research Products
(1 results)