2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730025
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
二本柳 高信 京都産業大学, 法学部, 講師 (10387996)
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Keywords | 憲法 / 立法 / 立法手続 / 民主主義 / 議会 / 州憲法 / 合衆国 |
Research Abstract |
本研究は、合衆国の諸憲法における議会の立法プロセスに関する諸規定の意義を解明することを目的としているが、本年度は、まず、合衆国の各州憲法における立法手続について定めた規定に関する文献・資料の収集及び検討を行った。その結果、19世紀半ば以降多くの州憲法に取り入れられたそれらの規定、とりわけ、一つの法案の主題は一つに限るという単一主題ルール(single subject rule)の歴史について、理解を深めることができた。それらの規定は、議院自身の制定する規則などとは異なり、憲法改正・修正によってしか変更できないルールであって、その意味で立法府に対して課せられている制約である。実際、それらの規定が州憲法典に盛り込まれた最大の理由の一つは、州立法府に対する不信であった。また、州憲法に見られる個別立法(special legislation)の禁止規定もこれに関連する。あわせて、これらの規定が裁判所により執行可能なものであるのかどうかという問題に関する合衆国での議論状況についても、一定の知見を得ることができた。立法手続に対する司法審査について、わが国の最高裁は全面的に否定していると解されているが、州憲法の最終解釈権者である州最高裁のとるアプローチは、州によって様々なものが見られ、必ずしも消極説で統一されているわけではない。実際、近年、一部の州では、州憲法の立法手続規定違反を認めた判決が下される例がしばしば見られるようになっている。
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