2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730025
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
二本柳 高信 Kyoto Sangyo University, 法学部, 准教授 (10387996)
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Keywords | 憲法 / 立法 / 立法手続 / 民主主義 / 議会 / 州憲法 / 合衆国 |
Research Abstract |
昨年度までは、立法過程についての、アメリカ合衆国の州憲法における規定の研究を行った。本年度は、合衆国憲法の規定の研究に向かい、以下のことが確認できた。 これまで、連邦議会の議事手続についての合衆国の憲法学における議論は活発だったとは言い難い状況にあった。しかしながら、連邦議会下院において、1995年に、増税のための法案の可決には過半数ではなく五分の三以上の特別多数が必要であるとする議院規則が採択され、この規則の合憲性をめぐって活発な論争がなされるようになった。この論争は、1議院規則の合憲性にとどまらず、議事妨害を終結させるのに同じく五分の三以上の特別多数を求める上院規則の再検討へと広がりをみせた。そこでは、議事手続ルールが追求するべき価値として安定性や熟慮などが検討され、従来み照れた民主主義と単純多数決との安易な同一視は反省を迫照れている。 以上の、連邦議会の議院の規則制定権に関する研究は、2009年度中に論文にまとめて公表する予定である。 なお、本研究にとって、財政に関する法律は-上述の下院規則がまさにそれを狙ったものであったが-般の法律より厳格な手続がその成立に必要とされるべきであるという主張がしばしばなされていることが、特に検討に値する。民主的な財政政策決定とそれに対する立憲的制限という対立図式については、大石眞・石川健治編『憲法の争点』(2008年)所収の拙稿「財政計画」において、簡単にではあるが検討を行っている。
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