2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730053
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
徳永 光 甲南大学, 法学部, 助教授 (20388755)
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Keywords | 刑事法学 / 刑事鑑定 / 再鑑定 / 鑑定資料 / DNAデータベース |
Research Abstract |
本研究は、(1)鑑定の対象となる資料の保存および廃棄手続がどうあるべきかを、被疑者・被告人の防御権及びプライバシー権の観点から理論的に検討し、(2)鑑定資料の保存と廃棄の実態を明らかにした上で、(3)日本において必要な立法、運用指針を検討することを目的としている。 2006年度は、押収物の保管と廃棄に関する日本の法制度および関連する判例を検討するとともに、アメリカの判例を分析した。これらの検討結果は、「鑑定試料の保存と証拠能力」福島至編著『法医鑑定と検死制度』(2007年刊行予定)に示した。 資料保管の実態については、イリノイ州クック郡裁判所等を訪問し聴き取り調査を行った。アメリカでは、DNA鑑定の結果、多くの事件で冤罪が証明され、刑事司法の見直しが行われつつある。その一環として、将来的にDNA鑑定の実施が可能となるよう、鑑定資料の保管を定める法改正を行う州があり、イリノイ州もその一つである。そこで、保管の連鎖を確保するためにどのような措置が取られてきたか、新たな規定によって証拠保管の運用がどのように変更されたかを調査し、また実際の保管施設を見学した。日本については、ある県警の科学捜査研究所を訪問し、鑑定資料の消費と廃棄に関する実情について聴き取り調査を行った。実態調査は、次年度以降、対象範囲を広げて行う予定である。 また、個々の鑑定機関に対する監督のあり方を検討するため、アメリカ、カナダ、イギリスにおけるDNA鑑定機関の認定制度を調査し、その結果をDNA多型学会大15回学術集会で報告した。
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Research Products
(3 results)