2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730060
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
田村 陽子 Ritsumeikan University, 法学部, 准教授 (60344777)
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Keywords | 証明責任 / 証明度 / 高度の蓋然性 / 証拠の優越 / 超過原則 / スウェーデン法学 |
Research Abstract |
平成19年度は、いくつか海外調査を行う予定にしていたが、本研究とりわけ証明度論において新しい示唆を得る可能性の一番高い、スウェーデンおよびフィンランドに、資料収集および研究者の方へのインタビュー調査を行った。スウェーデンでは、ミンナ・ハッタカ先生と、ハンヌ・タパニ・クラーミ先生の証明行動に関する意思決定過程の理論と自説とに関して意見を交わした。スウェーデンでも、裁判官などの実務家は、証明度論については関心が薄いようであったが、学者の間では熱心に議論されており、超過原則論や統計学を用いた証明活動の研究が進んでいることが判った。 また、フィンランドのラウラ・エルボ先生には、フィンランドの高等裁判所の裁判官をご紹介頂き、フィンランドの実務における証明度の状況を伺うことができた。フィンランドでも、実務家は証明度論について関心がやはり薄いようではあったが、若手の研究者などに伺ったところ、デンマークやスウェーデンと同様、フィンランドでも証明度論について議論があるようで、資料や意見の交換をさせていただいた。 やはり、従来のドイツ式の高度の蓋然性という政策的な証明度設定ではなく、より科学的・客観的な証明度の設定が民事裁判においても必要であるとの心証を得た。現在、北欧の証明度論の状況につき、収集してきた文献を読んでいるが、萩原金美先生による紹介も参照させていただいているが、スウェーデン語の文献を理解することは困難なため、英語やドイツ語で書かれた内容を翻訳しながら理解している最中である。
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Research Products
(1 results)