2006 Fiscal Year Annual Research Report
民事訴訟における電子的証拠方法の取り扱いに関する研究
Project/Area Number |
18730082
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
林 昭一 神戸学院大学, 法学部, 助教授 (80368480)
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Keywords | 民事訴訟 / 電子的証拠方法 / 文書提出命令 / 証拠保全 |
Research Abstract |
1 本年度においては、研究実施計画にそって、電子情報の民事訴訟における利用にかかる法制度の比較法制研究を行った。具体的には、電子的証拠方法の作成に関して予想される諸問題(作成者と作成部数)、作成された電子的証拠方法の維持・保存に関する諸問題(保存場所、保存期間、利用・アクセス権者の制限)、そして、電子的証拠方法の訴訟における証拠利用に関する諸問題(提出方法、相手方への開示義務の範囲と拒絶事由、提出拒絶に対する制裁)等について、とりわけこの分野において先行研究の蓄積が多い米国における電子情報開示(E-Discovery)などの関連法制度、関連裁判例、そして、学術論文の調査・研究を通じて、外国法制の先行箇所やわが国でも共有しうる立法論的または解釈論的な問題点の抽出、把握、そして整理を行った。その結果、米国民事訴訟規則において立法上承認された、電子情報自体の証拠利用の可能性とその範囲、電子情報を保存する計画にそった日常的な記録廃棄を訴訟係属に伴い中止する制度の導入の可否、雷子情報の廃棄による法的制裁の強化などの点において、類似の問題が予想されるわが国の民事訴訟制度に対する有力な示唆を得ることができた。したがって、本研究の目的に示された電子情報の証拠利用に関する法制度の比較法による調査・研究という点については、当初見込まれた研究成果は、達成されたものといえる。なお、その研究成果については、学術論文「米国民事訴訟手続における電子情報開示に関する一考察(仮題)」として公表予定であり、現在、作成中である。 2 なお上記研究に付随して、わが国の金融機関の取引文書の作成、保存、提出ルールに関する裁判例に関する調査・研究を行い、公表した。これは、銀行所有文書の開示に関する最高裁判例を契機として、今後、所有情報の電子化が進むと予想される企業取引の分野における、文書媒体の証拠開示の拡張の可能性とその限界を示すものである。
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Research Products
(1 results)