2007 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化時代における市民参画型政策決定過程:フィリピンにおける市民社会研究
Project/Area Number |
18730090
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柏木 志保 (渡邊 志保) University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 研究員 (00400622)
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Keywords | 政治学 / 政策決定過程 / 地域 / フィリピン / 市民社会 / NGO |
Research Abstract |
本研究は、20世紀後半以降の政策決定過程における市民の参加方法をモデル化し、これをフィリピン共和国において成立した共和国法NO.8550(RA8550)の成立過程に応用し、この結果を先述のモデルにフィードバックすることによって市民参画型政策決定過程モデルを提唱することを目的とした。これらの研究を遂行することにより20世紀後半以降の政策決定過程の変容をモデル化し、さらに、政策決定過程における政府と市民の連携手法および有権者のニーズを効率的に政策に反映させる手法を明確にすることが可能となる。 RA8550は貧困に直面している漁村の発展と、フィリピンを取り囲む海洋の水質を管理し、環境保全を目的として成立した法案である。同法案の成立過程にはNGOが参入し、漁師のニーズを政策に反映させた。RA8550の成立過程に参入したNGOは、Philippine Rural Reconstruction Movement、Tanggol Kalikasan、Haribon Foundation、NGO for Fisheries Reformである。これらのNGOに対する調査を実施した結果、同法に対する参入方法は次の通りである。(1)政策分析、(2)アドボカシー活動、(3)ポピュラリゼーション。(1)については、アドボカシー活動を行うために、専門スタッフが政策についての分析を行う。政策分析は、政策立案者および政治家に政策提言を行う際に重要となるので、詳細な分析が求められる。(2)については、政策研究でえられた結果を、政策立案者、政治家、有権者に提言する。(3)については、政策成立の重要性をメディア、出版物、集会などを通じて有権者に訴え、政策成立に対する有権者の意識を高める活動である。今年度の調査の結果、これらの3つの手法が市民参画型政策決定過程の特徴であることが明らかとなった。
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