2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730184
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
釣 雅雄 岡山大学, 大学院社会文化科学研究科, 助教授 (60401642)
|
Keywords | 政府債務 / 財政政策 |
Research Abstract |
初年度では基礎分析を中心に行った。具体的には政府債務と財政政策の因果関係を明確にする理論分析,データの収集・推計及び実証分析を行なった。 理論分析では,政府債務が増大した場合に,そのリスクプレミアムがどのように賦課されるのかの分析を行なった。国債などの政府債務は,通常は安全資産と考えられるが,債務が増大すると当然リスクを伴う。ここでは,そのリスクを国のプライマリー収支,すなわち税収と歳出の差から捉え,単年度の税収力から導き出した。また,現状では国債は国内で保有されているのがほとんどであるが,国内でファイナンスしきれなくなる場合に対外債務となり,国債利子率が上昇する可能性がある。また,理論分析と並行して、統計整備及び推定モデルの構築を進めた。統計は、中央政府及び地方政府の他に、社会保障基金や、その他の公的機関(郵便、公的金融機関など)についても整備した。 これらの初年度における分析は基礎的なものであるので,これを応用して次年度以降にさらに積極的に発表していきたい。ただし,これらの研究の成果の一部は,すでに伊藤隆敏・釣雅雄(2006)で発表した。ここでは,中央政府,地方政府,社会保障基金について,政府債務残高から財政収支の将来推計を行なった。家計や企業部門の分析と合わせることで,将来の経常収支を推計した。利子率(ギャップ)の今後の動向によっては,政府の財政収支赤字が拡大し,それが経常収支赤宇の要因となり,さらに利子率が上昇することで,雪だるま式に政府債務の維持可能性が満たされなくなる可能性が示された。
|
Research Products
(1 results)