2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730196
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
佐藤 隆広 大阪市立大学, 大学院経済学研究科, 助教授 (60320272)
|
Keywords | 開発のミクロ経済学 / 労働市場 / インド / ミクロデータ / 貧困 / 農業労働世帯 / 全国標本調査(NSS) / ミクロ計量経済分析 |
Research Abstract |
インドの州パネルデータと企業ミクロデータを用いて,労働需要に関する分析を行った.この研究成果を,「インド繊維産業の労働需要構造」と題して,2006年9月16日の日本国際経済学会関西支部研究会(大阪産業大学梅田サテライト教室)において,さらに,"Labour Demand in the India's Textile and Apparel Industries"と題して,同年24日のIndian Council for Research on International Economic Relationships (ICRIER)'(Nwe Delhi, India)における国際会議において,報告した.分析から,解雇規制がフォーマル部門の雇用を減少させるかわりに,インフォーマル部門の雇用を増加させるという効果を持つことが判明した.解雇規制が,こうした雇用における「置換効果」を有しているという点を実証的に明らかにしたのが本研究成果の独自性である. また,インドの世帯ミクロデータを用いて,インドにおける地方分権化が貧困緩和計画の配分にどのような影響を与えているのかを実証的に分析した.この研究成果を,同年8月22日のInstitute for Social and Economic Change (ISEC)(Bangalore, India)において"Who are the Beneficiaries of the Poverty Alleviation Programs in Rural India?"で報告した.さらに,その改訂版を,2007年2月20日のICRIERにおける国際会議において報告した.この研究からは,地方分権化が必ずしも農村弱者層に恩恵をもたらすものではないことが明らかになった. さらに,共同研究として,佐藤隆広・福味敦「インドの貧困とリスク:リスクシェアリングと異時点間消費平準化の統合モデルによる検証」『CREI Discussion Paper Series』No. 5,2007年3月27日を執筆した.これは,インドで,どの程度,保険・金融市場が発展しているのかを定量的に分析している.その結果,保険市場は完全ではないものの一定程度機能しているが,金融市場の機能は限定的であることが明らかになった.この研究は,とくに,地主と小作人の間に頻繁にみられる金融と労働契約の複合的取引(インターロッキング要素市場)を検討するうえで重要である.
|