2006 Fiscal Year Annual Research Report
企業ディスクロージャーと株価の情報精度に関する実証研究
Project/Area Number |
18730220
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
阿萬 弘行 長崎大学, 経済学部, 助教授 (70346906)
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Keywords | 金融論 / 株式市場 / 情報 |
Research Abstract |
平成18年度は、翌19年度からの計量分析のための事前調査とデータ整備を行った。 第一に、計量分析の基礎となる先行研究の詳細な調査である。先行研究に拠りながら資本市場における情報伝達の役割とその株価の情報精度に関するさまざまな分析のサーベイを行った。重要なものとして、マーケットモデルにもとついたidiosyncratic riskの計測がいくつかの先行研究でなされている。それらの研究は、一定期間の株価変動を市場要因と企業個別要因に区別することを目的としている。さらに、会計ファイナンス関連の分野では、企業による決算数値のアナウンスメントに対する市場の反応をモデル化して実証分析しているものも多い。これらの研究はイベントスタディ手法によって、市場の過剰反応、過小反応、ドリフト反応を明らかにしている。ERC(利益反応係数)に関する先行研究は、株価指標と利益指標の関連性を分析している。以上のように、株価の情報精度を分析する上では、マーケットモデルを用いたidiosyncratic riskだけでなく、会計ファイナンスの分野で用いられてきた手法についても考慮することが望ましいことが認識された。 第二に、基礎的なデータベース整備を行った。研究の性格上、研究経費の多くはデータベースの購入と整備に当てられた。財務データは、日経MMによって提供されている日経FQを契約し、企業財務データおよび企業利益予想データが現在アクセス可能な状態となっており、随時利用できる。株価データは、日経日次株価データベースを契約した。これは、オプションとしてFama-Frenchモデルのファクター時系列をカバーしており、マーケット要因以外のリスクファクターを考慮するうえで有用である。コーポレートガバナンスについては、日経CGESによって詳細な所有権構造、取締役会構造に関するデータを利用可能となっている。
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