2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730281
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
福冨 言 京都産業大学, 経営学部, 講師 (80387993)
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Keywords | 小売業 / サービス業 / 経験効果 / 商業 / インセンティブ / 販売 / 営業 / マーケティング |
Research Abstract |
本研究の調査課題は、小売業やサービス業に従事する人々の「経験」と彼・彼女たちの所属集団との関係に注目し、販売員個人の経験が集団の利害にどのような影響をおよぼすのか、また販売員はその影響力をどのように認識しているのか、という問いに対して回答を得ることである。本年度は文献サーベイと定性的なデータの収集を中心的な課題とした。文献サーベイの結果、この調査課題への取り組みが、長らくマーケティング研究において手つかずとされてきた問題に対する一つの重要な試みであることを確認した。この問題とは、生産者、商業者、消費者といった多様な主体間のインタラクションを一貫した論理から説明することである。本研究が重要な取り組みである理由は、その分析視角(個人が所属集団の利害をどのように認識し、どのように影響をおよぼすのか)が小売業やサービス業に対象を限定しないものと期待するからである。以上の進捗は学会報告と論文として発表している。 また、定性的なデータは住宅などの販売員へのヒアリングを通じて収集した。通常公開されている平均給与や俸給表などのデータではなく、販売量に応じた給与の変動額や販売目標値、実際の給与額などの貴重なデータを収集できた。例えば、新事業に配属された販売員は上司や同僚と同じ基本給ベースの給与体系に則る一方、長期的な売買契約を基礎とする事業に配属された者は成果給の比重の大きい体系に則るようなケースを確認した。後者の場合、販売員の経験は本人の給与と企業の利益の両方に貢献し、長期雇用の要因となる。が、前者の場合、販売経験や成果の測定が難しく、販売員たちの離職を招くこともある。その他の事例を含めた調査結果について、次年度春の学会発表を控えている。以上の調査結果を補完する目的として、2次データを用いた日米企業の費用構造の分析、質問票調査を用いた定量的なデータ収集を今後の活動として見据えている。
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