2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730287
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
春日部 光紀 Hokkaido University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (10336414)
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Keywords | 連結会期 / 鉄鋼業 / 鉄道業 / 資本連結 / 未実現利益 |
Research Abstract |
本研究は、19世紀末から20世紀初頭におけるアメリカ連結会計に関して、鉄鋼会社・鉄道会社が実際に公表した年次報告書を検討し、その生成・確立過程を多面的に分析するものである。研究の特徴は、以下のとおりである。 (1)実際に公表された連結財務諸表を素材とした実証研究ということである。一時資料を利用することによって、抽象的レベルではなく具体的レベルでの研究が可能となる。 (2)財務会計・管理会計・監査という多面的な側面から分析することで、連結会計の発展を統一的に捉えることができる。 (3)連結会計が社会的認知を得て確立していく過程に関して、会計技術的な発展を解明するだけでなく経済状況や企業の組織形態の変化も併せて分析することで、社会経済における会計の位置づけ、および社会的機能を明確にする。 平成19年度は、20世紀初頭のアメリカ鉄道会社を中心に、連結会計の史的展開に関する研究を行った。当時のアメリカ経済の状況、鉄道業の状況、鉄道の管理システム・や経営組織をふまえ、連結会計との関連を分析した。 成果としては、日本経営会計学会第8回全国大会(於:宮崎産業経営大学)において研究発表を行い、経営会計研究第10号(2008年3月)に論文「アメリカ鉄道会社における連結会計実務の展開」(査読有)を発表した。本論文では、いわゆる路線拡張に際して、株式をまったく所有していないにもかかわらず全資産をリースしているという理由で連結範囲に含めている会社のケースを分析した。結果として、現在とは連結概念が異なること、したがって,会計上の企業集団ではなく管理上の企業集団という観点が重要であることなどを指摘している。
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