2006 Fiscal Year Annual Research Report
「原爆被害」の系譜-被爆者運動と証言行為を中心に-
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18730326
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
直野 章子 九州大学, 比較社会文化研究院, 助教授 (10404013)
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Keywords | 戦後補償 / 国家補償 / 原爆被害 |
Research Abstract |
平成18年度の研究は、主に、課題研究を遂行する上で必要となる資料収集とその整理に重点を置いてきた。 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の事務局(東京)においては、課題研究で重点的に分析する1980年代の運動についての基礎資料の発掘・収集を行った。具体的には、定期的に各県の被団協に向けて発送された「事務局連絡」をはじめ、毎月発行の「被団協新聞」、運動方針の草案、代表者会議の議題や議事録、要求調査の調査用紙、国会要請運動関係の資料、「原爆被害者の基本要求」の原案、原案に対する各地方からのフィードバック、修正案をめぐっての議論や最終案などの資料、国民法廷運動関連の資料などを収集し、テーマ別に整理した。これらの資料収集は、来年度も引き続き行う予定だ。さらに、東京と広島において、被団協運動に関わってきた関係者たちから、1980年代の運動(特に国家補償要求関連)を中心に聞き取り調査を行った。 韓国(ソウル)では、韓国被爆者協会を訪ね、長年韓国被爆者運動にかかわりをもってきた関係者からも聞き取り調査を行ったが、協会発足当時からの資料を発掘・収集するためには、当課題研究期間の枠を大幅に超えた時間と労力が必要となることが明らかになった。そのため、来年度と再来年度にかけては、引き続き関係者からの聞き取り調査を行うと同時に、日本側の支援団体の資料を収集・分析することによって在韓被爆者の日本政府に対する補償要求運動を考察することになる。これは、すでに18年度に広島を中心に収集してきた在韓被爆者裁判の関連資料収集・整理と共に行う。 18年度末には、現時点での中間報告を兼ねて、南カリフォルニア大学において国民国家論のワークショップにて、戦争被害受忍論と国民国家イデオロギー、そしてそれに対抗する被爆者運動について発表した。
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Research Products
(1 results)