2006 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本における地域アイデンティティの再編と地域伝統芸能に関する歴史社会学的研究
Project/Area Number |
18730329
|
Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
武田 俊輔 滋賀県立大学, 人間文化学部, 講師 (10398365)
|
Keywords | 民謡 / 民族芸能 / 地域アイデンティティ / 観光 / 地域振興 / 戦後日本の地域社会 / 歴史社会学 |
Research Abstract |
平成18年度においては、戦後日本の地域社会における地域アイデンティティの再編成という問題について、地域社会における民謡や民俗芸能といった伝統芸能の変容とそれをとりまく文化的エージェントの関係性に即して明らかにする上での、基礎的な調査を行った。 具体的には文化財行政・観光産業・地方新聞社・民謡及び民俗芸能研究者・商工会・民俗芸能保存会等が取り結ぶ関係性とその変容を分析することを通じて、歴史社会学的に明らかにする作業を、主に滋賀県彦根市・東近江市における江州音頭、および北海道江差町における江差追分の事例に即して調査を行った。 それぞれの地域における地域社会の近代化の中で、戦後における観光客誘致の活動や地域活性化という文脈において、それぞれの民謡や芸能が変容していったのか、またそれは地域社会における郷土意識の変化とどのように結びついていたのかについて、滋賀県においては地域の盆踊りであった江州音頭が、戦後において地域振興に向けた動きの中でその唄や踊りが再編されていくプロセスについて歴史的な調査を行うと共に、地域の盆踊りとしての江州音頭と「江州音頭フェスティバル」に代表される地域のイベント的なフェスティバルとの関係性について、関係者からのインタビューを中心として調査を行った。また江差町においては「追分会館」の設立と江差追分全国大会というフェスティバルが創出されるプロセスについて、資料面での洗い出しを行うと共に、会館やフェスティバル関係者を中心に、インタビュー調査を実施した。 これらの成果を通じて、地域を代表する芸能なるものが「中央」との関係性の中で、またそればかりでなく地域社会における重層的なアイデンティティの関係性の中で形作られてゆき、また逆に人々のアイデンティティを変容させていくというプロセスについてその輪郭を描き出すことができた。
|
Research Products
(1 results)
-
[Book] 世界音楽の本2007
Author(s)
北中正和, 高橋悠治, 徳丸吉彦, 渡辺裕編著, 武田俊輔他共著
Total Pages
500
Publisher
岩波書店