2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730346
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
山室 敦嗣 福岡工業大学, 社会環境学部, 講師 (90352286)
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Keywords | 核被害 / 救済 / JCO臨界事故 |
Research Abstract |
本研究の目的は、核による被害からの救済が十全であるためには、どのような社会的救済の仕組みが必要なのか、を司法的救済、医学的救済とのかかわりのなかで明らかにすることである。ここでいう核による被害とは、原爆被害者はもちろん、「核の平和利用」とされる原子力発電などの核エネルギー開発利用にともなう被害者や被曝者まで含めた、いわゆる「ヒバクシャ」が被り、そして現在なお経験している健康被害、精神的被害、差別そして生活破壊等を含めた負の総体のことである。 初年度である本年度は、核被害のなかでも「核の平和利用」とされている核エネルギー開発利用にともなう被害者とその対応について、茨城県東海村の核燃料加工施設JCOの臨界事故を事例に、以前からおこなっている調査の成果を論文としてまとめるとともに、被害者による新たな対応について聞き取りをはじめた。それぞれの成果は以下のとおりである。 (1)JCO臨界事故で被害を経験した東海村在住の女性達が、市民版原子力防災マニュアルを作成した活動を、住民の責任意識という観点から分析し、各被害者にとって救済とは何かについて考察をくわえ、「なぜ環境問題による被害住民は自省するのか」という論文にまとめた。 (2)JCO臨界事故の際に避難対象地区に居住していた被害者A氏が中心となって、地域住民の連帯を取り戻すため「生き活き環境塾」を結成し、時間通貨などに取り組もうとしている活動について調査をおこなっている。
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