2006 Fiscal Year Annual Research Report
市町村障害者計画の策定と運営のための質的データ活用のモデル開発
Project/Area Number |
18730353
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
田垣 正晋 大阪府立大学, 人間社会学部, 講師 (30347512)
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Keywords | 障害者計画 / 質的研究 |
Research Abstract |
1.大阪府、堺市、八尾市、豊岡市の障害者計画に関する審議会に積極的に参加して、様々なデータの扱われ方について調査をした。特に、大阪府、八尾市、豊岡市においては、質問紙調査の設計とクロス集計に関わった。豊岡市においてはワークショップ会議の企画運営をすると同時に、審議会の委員のなかで、調査の専門知識をもたない者がデータの検討を容易にできるようにするための研修を実施した。フィールドワークの速報をウェブサイト上に掲載している。豊岡市のワークショップのデータは現在分析中である。 2.現時点の結論は、質的データは、従来の法則定立と個性記述という二分法ではなく、質的研究として分析をして、住民の意見の多様性の幅と深さを提示していくべきということである。政策現場においては、仮説検証とエビデンスを同定ではなく、仮説を常に生み出しながら、関係者間のコンセンサスをつくり、政策が検討されているといえる。また、市町村の障害者計画策定の調査は、学術的厳密さと、政策立案のための実用性、住民の調査結果の理解のしやすさという3条件をバランスよく満たしているべきである.以上の知見は、質的研究の実践への応用の理論的基盤を固めるために、自由記述とグループインタビューの分析を中心に、質的研究全体の入門書の一部に掲載する予定である。 3.今後は、質的データの分析の意義の理論整理、政策現場の人々が利用可能な手法の開発、量的研究との突き合わせの仕方(トライアンギュレーション)を検討せねばならない。また、質的データを連続量に還元するのではなく、カテゴリカルデータとして数量化3類等による分析をして、知見を提示するべきである。
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