2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730396
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Research Institution | Koshien University |
Principal Investigator |
川村 由紀子 (内田 由紀子) 甲子園大学, 人文学部, 講師 (60411831)
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Keywords | 感情推論 / 感情経験 / 文化 |
Research Abstract |
本研究は、感情経験(生起・表出)プロセスおよび対人関係の中で生じる感情推論プロセスについて多角的に検討し感情の文化・社会的性質の解明を行うことを目的としている。この際特に、「人の心の働きは社会・文化に参加することを通じて形作られる」という文化心理学の理論的枠組みに準拠し、感情生起・表出および推論プロセスと文化的習慣とのかかわりに着目した実証研究を行うこととした。さらにこのような基礎的・実証的研究と併せ、対人コミュニケーションの中での感情の役割を解明することにより、異文化理解や文化的適応のあり方を検討し、心の健康と文化的適応に関連する諸分野への貢献を目指す。 平成18年度は、(1)日米での感情の基盤となる関係性の共通性と差異、(2)感情経験(3)他者の感情についての推論に注目した実証的研究を行った。たとえば、日常的なコミュニケーションスクリプト、の中でどのような形での感情生起・表出が最も典型的に見られるのかどうかを日米で比較検証を行った。具体的には、Markus, Uchida, Omoregie, Townsend, Kitayama(2006)で用いた、テレビ報道及び新聞報道における内容分析の手法を援用し、コミュニケーションのどのような場面で感情が生起・推論されやすいのかを検討した。また、子どものコミュニケーション場面での表情生起・表出なども分析し、それぞれの文化に特徴的な感情生起・表出が、発達のどの段階で獲得されているのかについても検討した。 研究遂行にあたり、海外との共同研究者(ミシガン大学北山忍教授、フィービー・エルズワース教授、スタンフォード大学ヘーゼル・マーカス教授、ジニー・ツァイ准教授との綿密な打ち合わせを行い、日米での研究を実行した。研究成果は論文および著書にまとめ、学会にて報告を行った。
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