2006 Fiscal Year Annual Research Report
犯罪被害防止のためのリスク認知とリスク・コミュニケーションに関する研究
Project/Area Number |
18730401
|
Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
島田 貴仁 科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 研究員 (20356215)
|
Keywords | リスク認知 / perceived risk / パネル調査 / 犯罪不安 / fear of crime / 小学生 / layperson / 犯罪 |
Research Abstract |
本研究の目的は、主観的確率と深刻度の双方に基づく犯罪リスク認知尺度の作成と実証、パネル調査による被害リスク認知と犯罪不安の因果関係の同定、犯罪不安を煽らないリスク・コミュニケーション手法の3つである。 本年度は、予備的分析として、(1)小学生児童の保護者を対象にした質問紙調査(n=2,396)の再分析、(2)一般市民対象に2時点(1年間隔)で実施した質問紙調査(n=1,459)の再分析を行い、(3)専門家・一般市民間で比較可能な包括的な被害リスク認知調査を実施した。 (1)では、小学生の保護者は犯罪、交通事故、疾病、けがなど子どもをとりまく8種類のリスク源の中で犯罪被害不安が最も高いことが示された。被害不安を被説明変数としたロジスティック回帰分析により、児童の性別(女>男)・学年(低>高)など児童の個人要因のほかに、被害の主観的確率が強く被害不安を予測することが示された(犯罪心理学会大会で報告)。 (2)では、1.犯罪被害の主観的確率は個人内で安定していること.2.一方、調査時点間での新規の被害見聞により主観的確率が高まり犯罪不安につながること、3.居住地区の秩序びん乱が主観的確率を介して犯罪不安に影響することが示された(日本心理学会大会で報告)。次年度以降、被害の深刻度を含めたリスク認知を尋ねるパネル調査を実施し、被害リスク認知と犯罪不安の因果関係の同定を進める。 (3)では、頻度が異なる犯罪18罪種の発生件数の推定課題と、同7罪種のリスク定性評価項目(Slovic(1987))からなる質問紙を作成し、専門家(職務経験15年程度の警察官)は集合調査で約240名、一般市民はインターネットで約550名のデータを得た。次年度以降、専門家・一般市民間のリスク認知の比較や、先行研究で示されている「恐ろしさ」「未知性」の2因子布置の犯罪場面での再現性を検討する。
|
Research Products
(3 results)